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初めてここに来た日と同じように、私の右側でファッション誌を捲る部長。 見ているのは、合コンでモテるスーツスタイルとか、休日デートには……とか、流行りのコーディネートのページ。 こういうの、女の子の雑誌と変わらないんだなぁ。 『あ、そうだ。ちょっとだけ待ってて。』 残された私の隣には、雑誌が開かれたまま置かれていて、ページの右上が小さく三角に折られていて。 小物が特集されているそのページには、部長が愛用している腕時計と同じブランドも載っていた。 『お待たせ。』 すぐにリビングに戻ってきた部長がバーカウンターに向かう。 『お任せいただけますか?』 口角をキュッと上げた柔和な微笑みの部長は、バーテンダーさんに変身していて。 『は、はい。』 一瞬、視線が合った後、リキュールを計りながら入れて、軽く瞳を閉じてシェイカーを振る部長。 目がハートになるとか、結構前は言ってたみたいだけど……きっと麻耶も言いそうだけど……今の私は、多分それに当てはまると思う。 危険なくらいに、雰囲気を漂わせていて。 トレンチに乗せられてきた足の細いグラスには、甘く爽やかな香りのミントグリーン色。 隣には、バーテンダーのままの部長が、琥珀色を手に持って座った。
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