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どんなにキスをしても足りなくて。
私から求めるように、部長の首に手を回した。
『……はぁっ。』
身体が火照って、唇は腫れたように熱い。
呼吸を忘れそうで、涙目になっているのが自分でも分かった。
だけど、ここから先に進む勇気がない。
部長のことをもっと知りたいのに。
もっと、欲しいのに。
部長が片手でワイシャツのボタンを外しながら、私の右耳を舐めて吐息をかけた。
ザワッと肌が粟立つ感覚のあと、抱きしめられてふわりと浮く身体。
『……部長?』
抱きかかえた私を無視して、部長が寝室のドアを脚で蹴るように開けた。
……私、まだ決められないよ?
『……嫌?』
首を左右に振って、そうじゃないと伝える。
……嫌じゃない。
部長のこと、もっと欲しい。
ベッドにそっと下ろされて、おでこにキスを落とされると、部長の腕が首の下に入ってきた。
『……俺のこと、止めて。』
『えっ?』
部長の瞳が、切なく潤んでいて。
『ダメなら、もっと拒んで。じゃないと……俺、もっと彩星が欲しいから……好きになりすぎて、止まらなくなりそう。』
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