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『コンパクトのデザイン、進んだ?』
『ちょっと変えてみたんです。』
土曜の夜と日曜は、自宅で企画に集中した。
週末くらいゆっくりしたらどうかと部長は言ってくれたけど、勢いのあるうちに纏めたくって。
とは言え、勢いだけであっさり纏まるものでもなく、水曜日になって神谷さんと打ち合わせの日を迎えた。
『誠のとこみたいな感じやめるの?』
『はい、あれはあのお店だからいいのかもしれないな…と思いまして。』
あの隠されたテラスも、外からしか見えない十字架も、あのロケーションだからいいのかもしれない。
アイシャドウのコンパクトには、ちょっと合わない気がした。
もっと女子な感じにしたいんだよね。
『あのー、女の子って、占いとか好きじゃないですか?』
『分かる。朝の占いとか、雑誌の後ろとか気にするよね。あれ、なんで?』
『味方が欲しいんだと思います。私の考えですけど。』
『……味方?』
『はい、味方です。恋愛でもなんでも、自分に同調してほしいんです。いいコトがあるかもって、ウキウキしたいんです。悪い時でも、1位って言われたら頑張れそうになるっていうか。』
『なるほどねー。ちょっと分かるかもな。落ちてる時に、12位とかだと見放された気分になるよね。』
神谷さんが、小さく何度も頷いた。
『それで、コンパクトに星空をイメージしたいんです。12星座分の。占いじゃないけど、自分の星座のものって、親近感あるし…彼氏の星座のを持ったり、プレゼントにもいいかと。』
『なるほどね、新しいかも。星空ってことは、黒っぽいコンパクト?』
『そこなんです。夜空イコール黒なのかなぁ…って思うと、違う気もするんですよね。』
うーん…って揃って唸りながら考えるけど、答えは出ず。
また考えて、話し合うことになった。
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