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だけど、思い出してしまうのは、恥ずかしくなることで。
人目を憚らず、抱っこされたこと。
『離れるな。』
って、言ってくれたこと。
……甘い甘い、キスをしたこと。
真っ赤になってる顔は、何度も見られているけど、やっぱり恥ずかしくて見せられない。
『彩星?』
抱きついたまま離れない私に、部長が問いかけるのも無理はない。
だって……こんなに私から抱きついたこと……ないから。
火照っていく身体を抑えることに、とにかく必死で。
何も変わったことはないって、隠すのが、精一杯で。
肩をキュッと掴まれて、身体を剥がされたから、急いで俯いたけど……部長が小さく笑った声がして、もっと見れなくなった。
『自分からこんなことしといて、そんな顔するなよ。』
『……っ。』
『……止まらなくなった。』
ベッドに押し倒した私に被さって、上から見つめてくる部長は、ほんの少し日に焼けて、夏の色になっている。
『ねぇ……いきたい?』
『……えっ?』
予想もしていなかった言葉に、間抜けな声が出た。
『Carib STAR。』
『……い、行きたいですっ!』
部長が手を引いて立ち上がらせてくれて、その勢いで、もう1度抱きしめられた。
『ごほうびは、帰ったらあげる。』
耳にキスを落とされた私は、また俯いた。
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