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私が好きになった、あの時と一緒?
驚きと嬉しさの中にある、温かくて擽ったい感情が、私の表情を自然と微笑みに変えていく。
『どうした?』
部長はずっと私の腰のあたりで、両手を緩く組んで、やんわりと私を腕に包みながら、首を傾げて私のことを見つめてくる。
『い、いえ、別に…。』
『…そう。』
本当は言いたいけど、言葉にしたらなくなってしまいそうな、そんな気もして。
部長は、しばらく私を見つめてから解放すると、テーブルに置いたグラスを取って私に差し出した。
『じゃあ、乾杯しよっか。』
『…何に、ですか?』
『同じ時に、好きになってたこと。』
『……はい。』
どうか、私の想いが、届きますように。
部長のこと、ずっと好きでいられますように。
願いを込めた、乾杯の音が高く響いた。
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