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いつもなら、こうして見つめていたら視線を合わせてくれるはずなのに、部長はそのままグラスをテーブルに置いた。 『ちょっとさ、空見ててくれる?& eyeのために連れてきたのもあるんだし。』 『あ、はい。』 そうでした、はい。 Carib STARに向かう途中、その話をしましたよね……。 だけど、こんな可愛い部長を見逃すわけにはいかないんです。 空には、都会の割によく見える星があって、本当はもっと瞬いてるはずだけど、ここでこれだけ見えたら十分だと思える。 部長が描いてくれたあの画と同じような色味の空は、どんどん私を包み込んでいく。 顔を斜め上に向けたまま、視線だけを部長に向けた。 そこにいると思った部長は、隣から姿を消していて。 それに気付いたと同時に、私を背中から包んだのは、大好きな甘い香り。 それから、鎖骨に沿う感触。 『今日で、1ヶ月だから。』 『1ヶ月?』 『俺が、彩星に恋をしてから。』 鎖骨の感触が少し冷たくて硬いものだと分かるまで、そう時間はかからなかった。 ピンクゴールドのロングチェーン。 その先には、スワロフスキーの小さな星が瞬いていて。 『これ……どうして?』 だって、特別な記念日でもないのに。 嬉しいけど、だけど……。 黙っている私に、部長は言葉を刻んでいく。 『何とか記念みたいな、そういう記念日イベント、本当は得意じゃないけど…。彩星が、嫌じゃないなら、そういうのも悪くないかと思えて。』 それでも、言葉を待つしかできない私の首筋に、部長は突然キスをした。 『……それくらい、好きなんだよ。』
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