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海の家が並ぶ砂浜。
サーフィンをする人たち。
ときどき吹く潮風。
青い空と、青い海と、大好きな人。
『あ、すみませーんっ。』
ビーチボールが部長の足元に転がってきて。
部長が何も言わずにそれを打ち返したら、持ち主の女の子たちが騒いだ。
どこにいても目立つし、何をしていても様になる。
だから、こういう光景には慣れてきたつもりだし、慣れないといけないって分かってて。
……ちょっと、妬いちゃうけど。
途中にあったカフェの出店に寄って、アイスコーヒーとアイスティーを買った。
『……ヤダ。』
私の足が、砂浜にズブズブと埋まっていくような感覚。
部長のそばに駆け寄るビーチボールを持った女の人。
親しげに手を振る部長。
そして、駆け寄ったその人は、何の躊躇もなく部長の首に手を回して。
部長も、それに返すようにハグをしていて。
ただの友達かもしれない。
きっとそうだと思うのに。
そうだと思えるのに。
何を話しているか分からないけど、見たくなくて。
ここから、いなくなりたい。
……そんな衝動に駆られた。
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