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『言ってよ。いま飲み込もうとしてるやつ。』
言葉探しをするために俯いていて気付かなかった、私の心を見透かす視線。
気付いたら、泣いている私。
唇に当てられた中指に、塩気は行き先を変えた。
『思ってること、言ってよ。どんな言葉でもいいから。泣くくらいなら、俺に言って。』
少し気持ちが軽くなったのは、棘のないその言葉のせいだけじゃない。
部長がいつもの優しい表情で見つめてくれているから。
『言って?彩星の言葉で。俺、彩星を泣かせたくて一緒にいるんじゃないんだよ。』
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