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すぅーっと息を吸って、黒いモノが形を変えてくれるように、吐き出した。
『さっきのって、どうしてですか?』
『さっきの?』
背中を少し擦るような動きで、私の気持ちを落ち着かせてくれるような手の動き。
ちょっとだけ、それが止まって、部長が聞き返してきた。
『女の子に、抱きつかれてたから…。』
『あぁ。あれか。』
また俯いた私の頭に、ポンと軽く置かれた温かい手。
『……妬いたの?』
ニッと笑った、いたずら顔。
誰なのか教えてくれるんだとばかり思っていたから、部長に私の黒いモノを引きずり出されて、固まってしまう。
『……っと。あの……。』
そうです。妬いたんです……って、認めちゃえばいいのに。
そう出来ないのは、部長が嬉しそうにしているみたいで、それが悔しいから。
『違うって言うつもりでも、彩星の瞳は、そうだって言ってるけど?』
……どこまで、私の心を見透かすの?
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