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デスクの端に置いていた携帯が震えた。
メール受信の通知だったから、後で見ることにして、カタログに意識を戻す。
ページに貼っていた付箋は、気付けばなかなかの枚数になっていて。
『この中から選ぶことにしようかな。』
あとは、イメージと擦り合わせていかないと。
時間は、既に残業タイム。
空もすっかり暗くなって、天気が今にも崩れそうな黒ずんだ雲に覆われていた。
携帯を手に、自販機へと向かう。
メールは、麻耶からのもの。
誘われていた花火大会の件についてだった。
あの時は、部長と付き合えるなんて思ってなかったし、この恋を諦めようとさえしていた。麻耶には感謝しないといけないな。
『ねぇ、知ってる?』
自販機でドリンクを買っている他の部署の女の人が、2人で楽しそうに話している。
『花火大会、社でクルーザー借りてるらしいよ!?』
…クルーザー?!この会社、どれだけ景気がいいんだろう。
『私たちも行かない?』
『行きたいっ!だって三浦部長が来るのは確定だし。』
あ、この人…部長のこと好きなんだ。
私が彼女って、公に言いたくなっちゃう。
でも、それはそれで大変な目に遭いそうだから、部長の言う通り、秘密にしていることが正解なんだと思う。
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