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部長の打ち合わせが長引きそうだったから、今日は先に家に帰ってきた。 カーテンを開けると、街を照らす綺麗な三日月は、昨日と同じようにそこにある。 いつの頃からか、空が大好きになった。 青く晴れた清々しい空も好きだけど、夜空の方がしっくりくるのは、親が付けてくれた名前の影響なのかもしれないな。 私の好きな星空を企画に生かしたくて。 空は、静かに見守りながら、力をくれるから。 使う人たちの、力になれたら。 お気に入りのルームウェアに着替えて、テーブルに& eyeの資料を並べて、その横に置いたアイスティーのグラスに手を伸ばしたら、タイミングよく携帯が着信を報せた。 画面には、大好きな人の名前。 一気に速くなった鼓動のせいで冷たくなった指先で、通話を選んだ。
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