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打ち上がる度に、わぁっと、あちこちから上がる歓声。
『次、なに飲む?』
『グレープフルーツサワーってありますか?』
『あったはず。ちょっと待っててね。』
途中、何人もの女の子に声を掛けられながら、瀬名さんが混雑しているドリンクバーに向かって行く。
小さな花火がいくつも集まって、花束のように鮮やかな色を空に放った。
『きれー……。』
部長と見たかったな……。
部長と……。
底が籠になった巾着の中で、携帯が震えている。
〈お疲れ。花火、見てる?〉
部長からのメールは、何てことない内容だけど、何もアクションがなかったから、やっぱり嬉しくて。
〈お疲れさまです。
とても綺麗ですよ。部長と見たかったです。〉
携帯で撮った花火の写メを添付して、送り返した。
やっぱり、今日は来れてないんだ。
このクルーザーには乗っていない。
一緒に見たかったけど、私の浴衣姿も見て欲しかったけど。
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