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腰にある大きな掌が、トントンって優しいリズムを刻む。 『……大丈夫だから。』 『えっ…?』 次々に打ち上がる花火の音に、掻き消されそうなくらいの部長の小さな声。 少しずつ近付いていた沙衣さんが、3歩ほどの距離を保って止まった。 パンツスーツがよく似合うけど、今は凄みに拍車をかけていて。 刻まれていたリズムが、不意に止まった。 『沙衣。』 お腹の底に響く、部長の低い声。 『やり直さないよ。もう終わったんだ。』 柔らかい口調だけど、ハッキリと部長はそう言った。 なのに、沙衣さんは少しも表情を変えない。 それどころか、また1歩近付いてくる。 今すぐ離れて、夏輝を返して、貴女の彼じゃない。 真っ直ぐ過ぎる視線は、時に凶器のようになる。 『ねぇ……その子と私を比べたの?』
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