17

4/38
前へ
/38ページ
次へ
でも…………。 『だったら、早く教えてくれたら良かったのに。沙衣さんとのこと、考え直すなんて、目の前で言うし…。』 部長のせいで、この1週間は目の前が暗かった。色褪せた世界に、突然飛び込んだみたいだった。 『それは、彩星のせい。』 『な、なんでですかっ!?』 さすがに少しムッとしてしまう。顎に皺がよるのが分かるほど、唇を尖らせた。 『瀬名と仲良くしすぎ。瀬名に言い寄られる隙がありすぎ。……ったく、俺のことどこまで……。』 『えっ?』 言葉の最後が聞こえなかった。 花火がクライマックスに近いのか、派手に打ちあがる度に、その轟音に負けないくらいの歓声が私と部長を包む。 『……俺のこと、どこまで困らせるつもり?』 耳に唇をつけて、そっと囁かれて。 私には、花火の音よりも周りの歓声よりも、部長の吐息が1番良く聞こえる。 『言ったでしょ?彩星のこと考えたり、想ったりすると俺じゃなくなりそうだって。』 温泉で言われた、部長の心の中の声。思い出すだけで、全身が熱を帯びていく。 絶対に耳まで熱く、赤くなってるはずで。 それを知ってか知らずか……部長は私の耳に、優しい音のするキスをした。 『ちゃんと1人占めさせてよ。俺の、なんでしょ?』 超至近距離で、妖艶だけど切なく絡み合う視線が、私の何もかもを見透かしていくようで。 自然と、瞳を閉じた。

最初のコメントを投稿しよう!

144人が本棚に入れています
本棚に追加
広告非表示!エブリスタEXはこちら>>