でも…………。
『だったら、早く教えてくれたら良かったのに。沙衣さんとのこと、考え直すなんて、目の前で言うし…。』
部長のせいで、この1週間は目の前が暗かった。色褪せた世界に、突然飛び込んだみたいだった。
『それは、彩星のせい。』
『な、なんでですかっ!?』
さすがに少しムッとしてしまう。顎に皺がよるのが分かるほど、唇を尖らせた。
『瀬名と仲良くしすぎ。瀬名に言い寄られる隙がありすぎ。……ったく、俺のことどこまで……。』
『えっ?』
言葉の最後が聞こえなかった。
花火がクライマックスに近いのか、派手に打ちあがる度に、その轟音に負けないくらいの歓声が私と部長を包む。
『……俺のこと、どこまで困らせるつもり?』
耳に唇をつけて、そっと囁かれて。
私には、花火の音よりも周りの歓声よりも、部長の吐息が1番良く聞こえる。
『言ったでしょ?彩星のこと考えたり、想ったりすると俺じゃなくなりそうだって。』
温泉で言われた、部長の心の中の声。思い出すだけで、全身が熱を帯びていく。
絶対に耳まで熱く、赤くなってるはずで。
それを知ってか知らずか……部長は私の耳に、優しい音のするキスをした。
『ちゃんと1人占めさせてよ。俺の、なんでしょ?』
超至近距離で、妖艶だけど切なく絡み合う視線が、私の何もかもを見透かしていくようで。
自然と、瞳を閉じた。
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