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部長の分のコーヒーも淹れた立花さんが、去り際に唇をぎゅっと引き締めて、励ますようなアイコンタクトをしてくれた。
『早速ですが、高梨さんのデザイン案で決定致しましたので、本日は突然で申し訳なかったのですがお時間をいただいております。
弊社のカラーが損なわれることなく、コラボできると思っております。』
『ありがとうございます。そのように言っていただけると、嬉しいですね。』
お気に入りのブルーマウンテンを一口飲んでから、部長が私のデザインに目を落とした。
『2パターンのうち、どちらがいいのでしょうね。』
『弊社としましては、白が下になるデザインを選びたいところなのですが。』
白が下になるデザイン…& eyeの夜空が垂れるように、星が零れ落ちるような…。
逆のパターンだと、ラインストーンの量も多くなるから、きっとgentleらしさの範囲を超えた派手さが出てしまうからなのだろう。
『高梨さんは、どちらがいいの?』
眼鏡姿の部長が、優しく微笑みながら尋ねた。
久しぶりに見るその姿に、一瞬見惚れちゃって。
『どちらですか?』
左耳から入ってきた冬也の言葉は、まるで部長か冬也かを選ばせるような含みのあるものに聞こえる。
そう感じてしまうのは、勿論私だけなんだけど。
『上品さを出すか、カジュアルさを出すかで変わってくるようにも思います。
もし可能であれば両方出せたらとも思うのですが、いかがでしょうか。
御社のコラボと知って手に取る消費者と、弊社のコラボと知ってそうする消費者がいると思うので、間口を広くするのも1つの案として考えています。』
『間口を広くか。私個人としてはそれも良いと思うのですが、また持ち帰って話し合ってみます。』
その後、価格のこと、ブラシの形、液状等、色々と話を詰めた。
価格は& eyeの価格より少し高めだけど、gentleのネームが入ってこの価格は手に入れやすいと思える範囲で。
ブラシの形と液状は、gentleのものを採用させてもらって。
初回限定で、ラメ入りのミニボトルも検討してもらうことにした。
下睫毛に塗っても可愛らしい、細かい繊細なラメ。
所謂、初回数量限定のおまけだけど、反応が良ければ、そのうち商品化できたらいいなと思っていたりもする。
この企画も、上手くいくといいな。
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