127人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
企画部に戻ると、立花さんが私を探していて。
『どこに行ってたの?gentleの木崎さんから電話入ってたよ。』
『あ、メールの返事かな。ありがとう。』
部長の香りと手の感覚が、身体にまだ残ったままだけど、無理矢理仕事モードに戻した。
『木崎さん、お電話いただいてすみません。』
『こんにちは。彩星、メール読んだよ。今週金曜までには話が纏まると思うんだけど、打ち合わせる段階になるかはまだ読めなくて。
でも、ミニボトル案はいいと思うから、推してはいるんだ。
デザインも念のため考えててもらえる?』
『あ、はい。畏まりました。』
『それから、仕事が終わる頃に下で待ってるから。』
『えっ?!』
聞き返す間もなく、聞こえてきたのは終話を報せる単調な音。
今日、待ってるって…私、部長と帰るのに。
―『俺に任せて。』―
部長にそう言われたからには、言っておかなくてはいけない気がする。
遅ればせながらデスクに戻った部長を見たら、電話をしながらも私のことを見つめていて。
一瞬にして、仕事モードから引き戻された。
最初のコメントを投稿しよう!