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定時になって、1Fのコンビニに向かうエントランス。 『お疲れさま。』 不意に私の後ろから聞こえた声。 『と……木崎さんっ。』 『冬也でいいのに。待ってるって言ったでしょ?ご飯行かない?』 受付のお姉さんの視線が、勢いよく刺さる。 あぁ、そうか。あの人なのかもしれない。 会議の後、部長に告白してた人って。 さりげなく当てられた掌が、私の背中を軽く押して入口のドアへと向けさせた。 『あの、私、今日は…。』 『ん?彼氏とデート?』 『はい……すみません。』 私の背中にあった手が帰っていく。 『だったら、尚更だ。今日は俺とデートして?』 『えっ?!』 引き下がってくれると思っていた私の考えは、あっさり覆された。 『彼氏、誰だか知らないけど、俺の方が彩星のこと好きだから。』 『ちょっと……きざっ……冬也っ!』 冬也は、半ば強引に会社の外へ連れ出した私の手を引いて、横付けしていた車に向かっていく。 『木崎さん。』 振り返ったその先。 会社の入口の端に設けられた喫煙所。 煙草を片手に、冬也を呼んだその声。 冬也と部長の間で、私は行き場を失って俯くしかなくて。 カツカツと音を立てて近付く部長の革靴が視界に入る。 そして……視界から消えていった。
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