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お姫様抱っこされた私が辿り着いたのは、ダークブラウンのベッドの上。 冬也に見つからないように帰りはタクシーを拾ったけど、その車内でも繋いだままの手に度々落とされたキス。 見慣れた天井の代わりに、私の視界を部長の妖艶な表情が埋め尽くす。 ちょっと待って……と、思っている私を、部長はその気にさせる。 『したいんでしょ?非常階段であんなになるなんて。』 『そ、それはっ……。』 言い返そうとした唇は、また深く塞がれた。 隙間から漏れる自分の声が、部長の妖艶さを確実に後押ししている。 だから、声が漏れないように堪えようとするけど、非常階段で味わった感覚の引き金に、部長が優しく触れ始めて。 『なに我慢してんの?いいよ…壊れて。 ……それとも、壊してほしい?』 挑発的で、主導権を譲る気なんてない、部長の言葉。 唇は攻め込まれなくなっても、首筋に鎖骨に、肩先に。 部長の唇と舌が這う。 『彩星は、俺のだから。 この表情(かお)、アイツには見せないで。』 冬也の台詞を奪って、逆宣戦布告をした部長の瞳が、少し揺れているように見える。 『……私の大切な人は、部長だけです。』 フェイスの大きな腕時計を外して、ベッドヘッドに置く部長の手をそのまま捕まえて、私は自分の頬に当てた。
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