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Carib STARとは全く雰囲気の違う、シンプルで開放感があるこのお店は、誠さんの新しいお店。 なかなかタイミングが合わなくて、今夜初めて来てみたけど。 『ねぇ、やっぱり誠さんのセンスっていいと思わない?』 『うんうん、そう思ってた。だって…。』 海に突き出すように建てられたこのお店は、床以外が全てガラス張りになっていて。 支える柱は、Carib STARの十字架みたいにシルバーで、景観を邪魔しないように計算されている。 そして何よりも、天井までガラス張りで、星や月が綺麗に見えるから神秘的な気持ちになれそう。 『それで、話ってなぁに?』 『あのね、彩星がまた寂しくなった今夜は控えようかと思ったんだけど……どうしても早く言いたくて。 だから先に謝るね、ごめん。』 『気遣ってくれてありがと。でも、麻耶が話したいことならいつでも聞くよ。私なら、大丈夫だから。』 謝りながらもほんの少しもったいぶるような麻耶の表情で、きっといい話だと分かる。 『あのね……私、婚約しました。』 『婚約?!』 いい話だと思ってはいたけど、まさかこんな嬉しい報告だなんて思っていなかったから。 『おめでとう!』 『ありがと。』 2人とも、目を潤ませながらもう1度乾杯した。 そっか。 麻耶、幸せになるんだね。 ずっと応援してきて、本当に良かった。
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