Moonlit night of the dark blue

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『彩星……。』 キスの合間に、何度も私の名前を呼ぶ部長の声は掠れている。唇を合わせたままの、その瞳は少しだけ揺れているよう。 ただ視線を合わせて、言葉を待っていたら、もう1度触れるだけのキスが落とされた。 『ぶちょ…』 『夏輝って、言って。』 そっと髪を撫でながら、私がそう言うのを待つ部長は、摘むようなキスを止めてくれなくて。 『な、夏輝っ…。』 満足そうな表情で部長が私の手を引いて、そのまま寝室に入ると、背中から抱きしめられた。 『ねぇ、初めて俺の家に泊まった日のこと、覚えてる?』 『うん。覚えてるよ。』 開けたままのカーテンの向こうには、秋の月がぼんやりと霞んで、夜の海は、その青がまた朝日に照らされるのを待っている。 『あの日、彩星泣いてたでしょ?理由は聞かないけど……俺、約束するから。』 『約束?』 クルッと腕の中で半回転させられて、視界いっぱいに部長の顔が映る。 間接照明と外から入る高層ビルの灯りが、その表情を綺麗に照らした。 『もう、彩星のことをあんなふうに泣かせたりしないから。』 長い指の背が私の頬を撫でて、耳朶のNが指先で弾かれた。 『あんなに、辛く切なそうな気持ちにさせないから。だから、俺とこれからも一緒にいてね。』 『……はい。』 フワリと微笑んだその笑顔は、唇が緩やかに弧を描いたスマイルマークになって。 『……久しぶりに会えたから、大切にしようって思ってたんだけど……無理みたい。今夜は、俺の好きにさせて?』 脚が浮いて、抱き上げられた身体は、あっという間にベッドの海に沈められた。
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