113人が本棚に入れています
本棚に追加
好きにさせてって言った部長は、本当に壊れそうなくらいに私を求めてくる。
途中で波にさらわれそうになった私を、現実まで引き戻したり。
もっとキスしてほしいのに、鼻先が当たる距離で止められたり。
焦らされ続けて、もう限界に達しそうな時、一気に部長が攻めたててきて。
息を切らしながら、1度果てたものの、まだ完全に手離してない理性で、覆い被さる部長を見つめる。
『まだだよ、彩星。これからでしょ?』
ふわふわと浮遊するような感覚から抜けられずにいる私に、口移しで水を飲ませてくる部長は、ミラノに行って、男らしい妖艶さが増したような気がする。
飲みきれずに唇の端から零れた一筋が、首を伝って転がっていく。
その跡を辿るように、部長の柔らかい唇が下りていって。
『もっと欲しいって言えたら、おしまいにしてあげる。』
1ヶ月記念でプレゼントしてくれたネックレスのチェーンを指に絡めて遊ぶ、上目遣いの部長と視線が合った。
もう終わりにしてくれないと、身体が本当に壊れてしまいそうな予感と、もっと波にさらわれたいと疼く身体。
だけど、その言葉を言うのも恥ずかしくて。
『……もっと。』
『じゃあ、してあげる。』
『えっ?!』
吐息が掛かった耳。
終わりにならなかった、嬉しい裏切り。
何度も攻められて、焦らされて。
部長を見下ろしたり、背中に感じたり。
まだダメだと言われる度に、身体はもう止まらなくなりそうで。
『…………壊れてもいいよ。』
激しく揺さぶられる身体と、離れないように掴まれる肩。
そこで、私の記憶は途切れた。
最初のコメントを投稿しよう!