Moonlit night of the dark blue

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葉月ちゃんが、朝から真っ赤な顔で挨拶をしてくれた。 大体の察しはつくけど……少し離れた席に座っている永井さんの視線が、私にその理由を尋ねろと言っているようで。 『葉月ちゃん、何かあったの?』 『あ、あのっですね、せ、瀬名さんから……。』 瀬名さん、また海外仕込みの積極性で、葉月ちゃんをからかってるのね。 『これ、先輩に渡してって頼まれたんですけど。』 と言って、差し出されたクリアファイルは、例のボトルの件。 もうある程度纏めたから、あとは客先の反応次第になったまま、とうとう季節が変わった、あのデザイン。 付箋に書かれていたのは、〈good job!〉の筆記体。 ……上手くいったってこと?! 『葉月ちゃん、瀬名さんとどこで会った?』 『朝、エレベーターでご一緒しました。』 ってことは、まだ1課にいるかもしれない。 『そ、それとっ。』 『ん?どうしたの?』 先に内線で瀬名さんを捕まえておこうと受話器を取った私に、葉月ちゃんが続ける。 『今日、ランチに行こうって誘われたんですけど……先輩も行きませんか?』 やっぱりね。瀬名さん、新しい標的は葉月ちゃんか。 『私は遠慮しておくよ。葉月ちゃん、2人で行っておいで。グルメな瀬名さんなら、きっと美味しいご飯をご馳走してくれるはずだから。』 弱々しく私の隣で俯く葉月ちゃんと、理由を知って落ち込む永井さん。 これはこれで、見ていて楽しいかもしれない。 私もこんな風に部長のことで、真っ赤になったり落ち込んでた時があったなぁ。 今の私、その頃の武田さんみたいだ。
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