Moonlit night of the dark blue

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貰った資料を打ち合わせテーブルで広げる。 大人・背伸び・ご褒美・リッチ。 主なイメージはこの4つ。ちょっと価格帯高めの設定になりそうなのかぁ。 大人の女性が使っていそうな、若い子でもご褒美にちょっと背伸びして買いたくなるような感じとか…。 リッチさは、中身にもよるだろうけど、ボトルの色味はダークカラーか白でシンプルにした方が良さそうだな。ポイント使いでゴールドとか、メタリックカラーもいいかもしれない。 『瀬名の案件か?』 『はい。』 朝から直行で外出していた部長が、14時になる頃に漸く出社した。 『やっぱり帰国1日目は忙しそうですね。』 私の視線の先は、部長のデスク。 帰ってくる日に合わせて積まれていった書類の山が2つ、ビルのようにそびえ立っている。 『ったく、容赦なしだな、みんな。』 部長がデスク脇にバッグを置くと、周りを見渡した。 『よし。ちょっといい?』 部内の全員が、手を止めて部長に視線を送った。 『みんな時間ないだろうから、堅苦しい挨拶は省きます。長期間不在しましたが、本日よりまたここに座ることになりました。これから一層、厳しくやっていくので、どうぞよろしく。 週末の飲み会、楽しみにしてます。それから、急遽今夜の19時から1課と合同で集まる予定になりました。場所はCalib STAR。勿論、業務優先なので、来れそうな人は是非ご参加ください。』 拍手とともに、挨拶を返す人や今夜行くかどうか予定を確認しあう人。 部長がいる企画部って、こんな感じだったな。 ちゃんと1つのチームになっていて、でもそれぞれ個性が発揮できる。 『やっぱり部長がいると引き締まり方が違うよね。』 武田さんが私のことを肘で突きながら、早速溜まっている書類の山に手を掛けている眼鏡姿の部長を見た。 『あ、高梨さん。ちょっと来て。』 『早速お声がかかったね、彼女。』 武田さんの冷やかしに、わざと膨れた顔をして、部長のデスクに向かった。
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