Love hunter

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『反対って言うと、仲違いしているみたいに聞こえてしまうね、決してそうではないんだよ。三浦部長も、高梨さんがこの話を蹴った時は、もう1度日本で受け入れることになるから、無関係ではないんだ。承認・否認の権限だってある。でも、いま高梨さんは私の直属だから、あまり口を挟んでこないと思っていたんだけどね。』 遠藤部長は、黙って言葉を聞いて理解しようとする私に、ゆっくりと間を置いて話を続けてくれる。 『高梨さんがこっちに来る時、三浦部長が本社人事と私に強くお願いしてきたことがあるんだ。』 『あ…あの、私を2年で帰すってことですよね?』 『あぁ、なんだ知っていたのか。その通りだよ。2年という期限付きであれば、高梨さんをパリに出しても構わない、高梨さんがそう選択したのであれば、と言われたんだ。でも、実際パリに来てからの高梨さんの活躍は目を見張るものがある。日本でも活躍していたから、こっちに来てもらったんだけど、いざ蓋を開けてみたら予想以上の活躍でね。社としても、あの大手ブランドと大口契約が結べたんだから、それは高梨さんをパリに置きたいと考えるだろう。』 『そんな…私なんか大した貢献度ではありませんので…。』 『いや、そんなことないよ。そうじゃなければ、人事が約束を無視して、パリに置くなんて言わないと思うんだ。それに、客先のことやこれからのことを考えると、私も人事の意見に賛成なんだ。ここまでは、分かってもらえますか?』 『……はい。』 簡易カップに入れたコーヒーを啜る遠藤部長に合わせて、私も一口含む。 『三浦部長は、個人的に承認できないと言っているそうだ。直接彼と話したわけではなく、人事を介して知ったんだけどね。……それと、これも人事から聞かされたことですが……高梨さん、三浦部長とお付き合いされているのでしょう?』
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