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本社では、ほぼ全社員が知っている公認の関係なのだから、パリにいる遠藤部長に知れるのも時間の問題だって、部長は言っていたけれど……なにもこのタイミングで人事課が知らせなくてもいいのに…。
『はい。お付き合いしております。』
隠すことじゃないし、事実。
部長との関係があるからって、今回の人事には関係無いと思う。
『三浦部長が帰国を希望しているのは私的な理由ではなく、本社企画部部長として、もう帰してほしいと……そう言っているそうです。あくまでも、決めるのは高梨さんだと。……でも、約束でしたからね。期限が延びるならまだしも、パリに置くというのは、彼の意向を無視したことになる。』
部長の気持ちに変わりはないってことか。
どんな時でも、本当のことしか言わないって言っていたもんね。
ブランドとの企画は、まだ途中だから放り出すなんてできない。
今期限りで担当が変わるなんて言ったら、きっといい反応は示さないだろうな。
向こうの担当の人、いい人かもしれないって思ったけど、やっぱりちょっと苦手だし…。
他にもパリで携わっている案件がある。
今期の予定は、大半が既に埋まったくらいだ。
現に、手帳のカレンダーは2月まで書き込みがある。
でも、部長と過ごすのは何にも変えられない幸せなことだって思えて。
仕事も大切だけど、女性としての幸せをもっと求めてもいいのかもしれないって思うようになってきたのも、本当の私の気持ち。
帰るか残るか。
この2つしか選択肢はないのかな。
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