Love hunter

『……高梨さん。とても大切な何かを、犠牲にして過ごしていませんか？』

『大切なもの……。』

遠藤部長は、言葉を繰り返す私に１度だけ頷いた。

『仕事と割り切って、言い聞かせて、ここまでやってきたところもあるでしょう。確かにそれは、仕事をしていく上で必要です。今回パリに来て、ここまでの成果を上げたことは本当に素晴らしい。でも、仕事をとるか、プライベートをとるか…選択肢はそれだけではないはずです。』

割り切って仕事をしてきたところは、たくさんある。
大好きな仕事だから、新しい自分に会いたいから、日本を離れることは辛かったけど、でも割り切ってきた。

『……何が１番大切なのか、それを見失ってはいけないと、私は思いますよ。』

アパルトマンに着いて、真っ先に向かったのは、リビングの壁に掛けたコルクボードの前。

たくさんある星の中から、１枚を選んだ。

……何が１番大切なのか、見失わないように。

ーTon sourire de chaque jour suffit pour faire mon bonheur.

私にとって、１番大切なのは……。