Love hunter

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『もしもし、聞こえる?』 『うん、大丈夫。ちょっと久しぶりな感じがするね。』 部長から掛かってきた電話は、日本がまだ早朝の時間で。 気にしてくれてるその声も、まだ寝起きの声。 『おはよー、ってそっちはこれから寝るんだよな。羨ましいよ、俺ももう1回眠りたい。』 『昨日遅かったの?』 『んーまぁね、最近いろいろと立て込んでてさ。』 リビングをスリッパで歩く足音が聞こえる。 そして、音楽が流れてきて…。 『ふふ…っ。』 いつも通りの部長にホッとしながらも、目の前でその光景を見ているかのような感覚に自然と笑ってしまう。 『…何かいいことあったの?』 『うぅん、何でもないの。』 こんなに他愛ないことで、些細なことで、私が笑顔になれる。 私が笑顔でいられたら、部長も笑顔でいてくれるって、信じていいんだよね。 『部長?』 『ん?…なぁに?』 『1回しか言わないから、ちゃんと聞いてね。』 『……うん。』 『…………Je voudrais etre heureuse avec toi.』 今の私が、部長に言える、とっておきの言葉。 部長は人事の話に、自分から触れてこないけど、でもきっと私の決断を待っていると思う。 だから、私が笑顔になれた分、部長にも笑顔になって欲しくて。 『彩星、ありがとう。』 伝わったかな、私の気持ち……。 ーー貴方と幸せになりたいです。
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