Love hunter

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『迷ってるのね、まだ。』 ママが言った一言は、私にとって意外だった。 『彩星、貴女のことなら何でも分かるのよ。母親なんだから。今、迷っているんでしょう?』 『うん。まだ決めきれてない。』 遠藤部長から話を貰って少ししてから、両親に相談して早4ヶ月。 人事にもそろそろ回答を求められる頃だと思う。 『三浦さんは、何て言ってた?』 『部長は、私に直接何も言ってこないの。話しても、決めるのは私だからって、言ってくれるけど。でもね、会社には承認できないって話してるみたいで…。』 『あらまぁ…そうなの。どうして三浦さんが、彩星に何も言わないか分かる?良く考えてごらんなさい。』 両親は、外国に1人で長々と置くのは不安だから、あまり賛成はしたくないみたいだけど、でも仕事がしたくて行ったんだから、後悔だけはしないようにって…決めかねている私の背中に手を添えてくれた。 私が笑顔でいられたら、部長は幸せだって言ってくれていて。 部長の笑顔を失いたくないから、私も笑顔でいようと思う。 もし、私がパリに残って毎日仕事が充実して、自分で選んだことだからって笑顔で過ごすようにするのと。 日本に帰って、部長と暮らしていくのと。 部長の笑顔は、どっちなら失わずに済むんだろう。 私が決めていい事だとしても、私の笑顔のために部長の笑顔が犠牲になるなんて、嫌だ。
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