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このままパリに残って、仕事を頑張っていく。
だんだん増えてきた、こっちでの友達と楽しく過ごしていく。
時々、日本に帰ったり、部長がパリに来てくれたり。
…そんな毎日を過ごしていくのかもしれない。
それか、日本に帰国して、部長と毎日暮らして。
仕事はどうなるのか分からないけど、話を断ったからって退社しなくてはならないってことはないと思う。
だけど、どうしてもパリに残るって選択肢を無視できなくて。
ーー後悔しないって言える?未来の自分に。
俺と一緒にいたいって言ってくれるのは心から嬉しいし、俺も一緒にいたい。
でも……ここまで必死で頑張って、やっと形になった企画を、途中で降りるなんて出来る?
他の誰かに任せて、企画する側から消費する側に戻れる?
悔しくなったりしない?もっとこうしたら良かったのにって、後任の担当が出す企画に意見しないって言える?ーー
部長のミラノ行きが決まった時、言われた言葉。
日本に帰ったら、後悔してしまうんじゃないかって、どこかでそう思ってしまう。
もっと自分が成長していけるなら、ここに残ってみたい気もして。
この前決まったブランドとの契約が来期以降も続くかは決まっていないけど、ここまで携わったからにはできるだけ長く担当として任せてもらいたい。
他の誰かでも、他社でもなく。
今の私を作ってくれた、1つの大きな要素でもあるから。
日本で企画した& eyeもLove hunterも、自社で立ち上げたからこっちでも担当としてやらせてもらえてるけど。
きっと、この件はそうもいかないと思う。
何より、客先がここに本社を構えているのに、時差がある日本の担当に今まで通り仕事を振ってきてくれるとは到底考えにくくて…。
だけど。
これからも部長と離れて暮らすなんて、こんなに辛いことはない。
きっと、部長は知っているはず。
でも、決めるのは私だからって言ってくれるんじゃないかな…。
私がここに残るって言ったら……それでも、部長は首を縦に振って、送り出してくれるのだろうか。
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