8月14日

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「ふぅ…」 目の前の書類を書き上げ、一息ついて椅子の背に凭れる。 これで今日の仕事は終了、あとはこれを事務局に提出して帰るだけだ。 猫背で仕事をしていたために固まってしまった身体をぐっと伸ばしながら壁に掛けられた時計に目をやると、いつの間にか夜の九時を回っていた。 随分かかってしまったな、と苦笑し、机の上を半分以上侵食する資料を適当にまとめて机の引き出しに突っ込む。きちんと整理して片付けるのは明日でも構わないだろう。 許容量を若干超えてしまい抵抗を見せる引き出しを何とか閉め、鞄に筆記用具を仕舞って席を立つ。すでに誰もいなくなった職員室に、椅子を引く音が異様に大きく響いた。 書類仕事は苦手で、いつも人より時間がかかってしまう。それにしてもかかりすぎだな、と内心で自嘲し、纏めた書類と鞄を持って、唯一ついていた灯りを消し、真っ暗になった職員室を後にした。 「遅くにすみません、これお願いします」 「はい、お預かりします……はい、確認しました。遅くまでお疲れ様です」 「ありがとうございます。お疲れ様でした」 事務局がこの時間まで開いているか心配だったが、どうやら俺の書類を待っていてくれたらしく、無事提出して校舎の外に出る。
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