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「セリさん、お風呂温めてきたから入りなよ」
「ああ、ありがとう」
アモルが温めなおしてくれた晩御飯を食べ、割り当てられた部屋でベッドに座って一息つくころにはもうあと三十分で明日になってしまう時間だった。
開けっぱなしだった部屋の入り口から顔をのぞかせたアモルに礼を言って入浴の準備をする。アモルはそれを見ながらあくびをして目をこすった。
「ふぁ…じゃ、僕はもう寝るね」
「ああ。こんな時間まで起きててくれてありがとな」
「いーえー。ここに来た時から、僕とイグナはセリさんのこと家族だと思ってるからね!家族なら、心配したりするのは当たり前でしょ?」
眠たそうな目で優しく笑い、アモルはもう一度あくびをする。
俺は不意に言われた『家族』という言葉に目を瞬かせた。
アモルはそれに気づかず、三回目のあくびをして目をこすった。
「お風呂あがったらイグナにも声かけてね。マスター室にいるからさ…じゃ、おやすみなさーい」
「あ、ああ…おやすみ」
ぱたりぱたりと部屋履きを鳴らし、アモルは二つ隣の部屋に戻っていった。
ぱたん、と扉が閉まる音がして、俺はようやっと息を吐き出す。
「家族…か」
二人に言われたその言葉が、やけに耳に残っていた。
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