7月10日

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秋「さーさーのーはーさーらさらー♪」 秋也が酷く懐かしい歌を口ずさみながら、春樹の創造した笹をわさわさ揺らす。 その枝には、星や提灯を模した紙製の飾りが吊るされていた。 秋「よしできた!我ながら完璧!」 出来栄えに満足したらしく、得意気な顔で大きく開かれたバルコニーの扉をくぐって部屋に戻ってくる。 本来寮の部屋にはついていないはずの広いバルコニーは、今日のために春樹が創造したものだ。 部屋の中では、春樹が創造した折り紙を縦長に切り分けているところだった。 それも創造してしまえば早いだろうにと思ったが、楽しそうな春樹を見ているとどうでもよくなってしまった。 春「よし、これくらいでいいかな」 春樹のほうも終わったようだ。 あとは自分の担当分だけか。 凝って星形に切った人参を、金糸卵を散らした上に飾り付ける。 あとは茹でたむきえびとサーモンをのせれば完成だ。 人参の皿を置き、えびの入ったボウルに持ち替えたとき、ぱたぱたと二人ぶんの足音が台所に入ってきた。 春「夏彦ー、できたー?」 秋「お、えびだ!もーらいっ」 夏「あ、こら!つまみ食いすんな!」 秋「痛い!」
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