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春「…ほら、今年の七夕は俺たちだけだからさ。一人一枚じゃ、笹が寂しいだろ?」
できるだけ明るく言おうとして失敗したその言葉に、俺と秋也は思わず視線を落とした。
…俺たちは生まれたときから幼馴染みとしていつも一緒で、それと同じくらい両親たちの仲も良く、年中行事は必ず三家族揃って祝っていた。
…『さよなら』も言えなかった両親の笑顔を思い出し、不覚にも目頭が熱くなる。
だがそれを頭を振ってこらえ、二人ににっと笑ってみせた。
夏「…なら、この短冊分書かないとな。寂しくないように」
秋「…ああ」
春「うん」
俺たちはそれぞれペンをとり、短冊の山に向かった。
全て書き終える頃には夜もふけ、夜空は数えきれない程の星で埋め尽くされていた。
部屋の明かりを消し、バルコニーにもたれて三人で空を眺める。
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