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そして、間を置いてから彼女はこう言う。
「でもさでもさ、それってある意味すごいじゃん。だってさ、私が投げたブーケを拓海が取ってそれを千夏に渡したんでしょ。それって何か、拓海と千夏が繋がっているようにも見えない?」
「拓海と千夏が繋がってる?どういうことだよ?」
「もー、涼太ってば鈍感なんだからあ。つまりぃ……」
にししと含み笑いを浮かべる麻悠。このとき、俺は彼女の顔を見てどういう意味なのかを悟った。加えて拓海以外の男子共も、「あー」と口を揃えながら拓海と千夏を見て納得する。
「ちょ、ちょっと、何みんな!にたにたしてて気持ち悪いよ?」
文字通り拓海以外にたにたと笑う俺達を見て千夏が動揺すると、麻悠はずばりとでも言いたそうに指を立てて、どや顔でこう言った。
「今度は、拓海と千夏が結婚する番だってこと!」
「へ!?ちょ、ちょちょちょ、麻悠!何言ってるのよ!?」
焦っている千夏をよそにひゅーひゅーとからかう麻悠と3バカ男子。そして、とどめをさしたかのように麻悠はこう言う。
「だって、あんた達二人は高校時代から付き合っているでしょ?しかもおんなじ大学に入って、それからもずーっと付き合っている。なのに、同時期に付き合っていた私達の方が先に結婚した…でも、チミ達はまだ結婚していない!」
お前は博士か―偉そうにしている彼女を見てそう思った俺だったが、それとは一方で恥ずかしがっている千夏が逆に尋ねる。
「そ、それが何なのかな…?」
「何なのかな、じゃないでしょー。とぼけちゃってぇ。次は拓海と千夏が結婚しなきゃ嘘でしょって言ってるじゃなーい。そだよねー、拓海ー。」
やめてよー、と頬を赤らめる千夏をよそに、彼女のことを右肘で小突きながらそう訊く麻悠。
すると、スマートフォンを片手にハッと我に返った拓海がこう答えた。
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