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「ご、ごめん…。今何て言ってた?メール見てて気づいてなかった……」
それを見て俺は、申し訳なさげに態度を見せる拓海をからかうように近づいてこう尋ねてみた。
「おいおーい、拓海。お前最低だなー。そんなにメールが大事なのかー?誰からのメールだよー。」
「えっと……妹から………」
そう言って、彼の妹の写真を見せる。確か拓海の妹は、人気ファッションモデルだったことを聞いたことがある。加えて、あまりに美人なので彼が心配していることも前に噂で言っていたっけか。
まあ、はっきりと言うと、恐らく所謂シスターコンプレックスという解釈で間違いないだろう。
「ははは。まーた、妹さんかー。千夏ー、こりゃあ結婚したら苦労するぞー。大丈夫かー?」
俺がそう言ってからかうと、千夏がやたらと過剰反応をしだして、
「ちょっと涼太君まで何言ってるのよ!拓海とは別にそんな………」
と、段々と口ごもる。
それを横目で見ていた麻悠は、さらににんまりして「あやしいなー」とじとっと見る。そして、3バカも同様にして。
「も、もう!みんな口を揃えて笑うことないでしょ、バカー!」
その千夏の罵倒と、俺達の笑い声が「たっちゃん」の店内に響く。
こうして、しばしの間俺達は昔に戻り、高校時代の日々を思い出したように思い出に浸っていた。
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