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しばらく経って、時刻は22時頃になっていた。
「あ、もうこんな時間。あたし、そろそろ帰らないと。」
麻悠がそう口に出す。その言葉に不思議に思った明人は、俺と麻悠に対してこう訊く。
「あれ?お前らって一緒に住んでるんじゃねーの?」
「ああ、同居するのは明日からなんだよ。ほら、俺らって幼なじみだったから家が近かったし。麻悠が短大卒業してから結婚した形になっているから学生結婚みたいな形になってるし、親への配慮みたいな感じかな。それに麻悠は人一倍の家族思いだからあいつの気持ち優先にしたかったのさ。入籍は今日入れてきたけどな。」
俺がそう言うと、横で麻悠が「もう、ダーリンったらあ」と若干照れた様子を見せる。一方、明人は「なるほど」と相槌を打ち、お腹いっぱいだとでも言いたがってるようにして俺達を呆れた目で見ていた。
「お熱いことですなあ。でももうこんな時間だしかなり暗いぜ、どうすんだ?」
ああ、それなら俺が―――そう俺が言いかけると、
「俺が途中まで送っていくよ。」
と、拓海が立ち上がる。
「えー、おいおい。そこは新郎である涼太様だろうー。拓海ー、お前らしくないKYだなー。」
「ふふん。甘いな、明人。主役がもう一人いるから……だからこそ、だろ?」
ちょっかいをかける明人に対して、拓海が珍しくすかしているかのような仕草をとる。
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