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そのとき、千夏は何かをひらめいたかのようにして解説するようにこう言った。
「なるほどっ……!分かったわ、拓海!これは、今回の主役が新郎新婦である涼太君と麻悠だからこの打ち上げパーティーには彼らあってこそのもの。しかし、麻悠は途中で抜けてしまい、涼太君まで送り迎えするのに行ってしまったら主役不在のパーティーになってしまう…。そこで主役不在にならぬよう涼太だけ残し、自分は麻悠を途中まで迎える…しかし、それは彼らを思ってこそのもの。……そうなのね、拓海…!」
千夏が言い切った後、不敵に笑みを浮かべて拓海は背を向ける。恐らくカッコつけているな。
さすが二人の幼なじみである拓海、そして私のダーリン、という千夏の惚気を横で聞き流しながらそう思った俺。しかし、それでも俺は――
「まあ千夏の解説はともかくとして……要するに空気読んで麻悠を途中まで迎えに行ってやって、俺にはあまり苦労させないでおこうって思ってくれたんだよな。ありがとな、拓海。」
と、礼を言った。すると、直敏が目を光らせてなぜかこう言う。
「でもわかんね~ぞ~、男と女ってのは。おーい、拓海ー。千夏ちゃんいるんだから帰りに変なことはするんじゃないぞー。」
「ひでーな、直。麻悠には手なんか出さないよ。俺は元々千夏一筋なんだからさ。」
直敏が冷やかしで拓海をからかうと、拓海は苦笑いでそう答える。しかし、このとき俺は少し引っ掛かりを感じていた。
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