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そう言ったときの彼女の笑顔は、いつもの天真爛漫の明るい雰囲気ではなくどこか影のある感じにも見える。
それを感じ取ったのか拓海も同様に彼女のような切なげな表情を浮かべていた。
気がつくと、暗い夜道から出て右側にコンビニがある四つ角に着いていた。そのとき、麻悠はハッと我に返る。
「ああ!もう着いていたんだ!じゃあ、そろそろ行くね。」
彼にそう別れの挨拶をする麻悠。しかし、次の瞬間、彼女の隣に大きなフラッシュの光が見えた。
そのとき、彼女はふと横を見るとフラッシュの光とともに大きなクラクション音と、大型トラックが彼女の前を通ってくる。
それに気づいた拓海は、危険を察知し、
「危ないっ!」
と叫び、麻悠をかばうようにして拓海が前に出てきた。
そして、二人はそのままなだれ込むようにして倒れ、そのまま静止状態になってしまっていた。気がつくと、トラックはまるで火の歯車の如く二人を轢き、逃走していった。
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