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この頃、拓海が麻悠を送迎している間に俺達は度が過ぎるふざけたトークで盛り上がっていた。特に明人にいたっては女子である千夏がいるにも関わらず下ネタトークを連発し、俺はよく女子がここにいるのにそんな話を平気でできるなと引き気味に思っていた。(最も千夏は適当に合わせていたが)
しかし、そのとき、突如寒気が俺を襲った。一瞬だったが、身の毛がよだつようだった。しかし、その寒気はすうっと気配を消したかのようになくなった。
気のせいか、なんだったのだろう。このときの俺はまだそんな程度にしか思っていなかった。そんなことよりもこのしょうもない雑談を聞きながらも拓海がなかなか戻ってこないことに違和感を覚えていた。
遅い。遅すぎる。麻悠を送迎するのにかれこれ二十分近く経っている。
「なあ、みんな…拓海やけに時間かかってね?」
俺は思わず皆の雑談を止めて拓海が戻ってこないことを言ってみる。
すると、千夏も思い出したかのようにして俺にこう答える。
「そういえばそうね…四つ角の信号に着くまで五分程のはずなのに。」
「近くにコンビニあるし、そこでなんか買ってんじゃねーのか?」
「あ、分かった。涼太…お前ひょっとして麻悠が拓海に浮気してないか心配してんのかあ?」
推測で答える直敏とは対して、明人がにやけながら冗談半分でからかう。
冗談だとしても図星を刺された俺は話題を戻そうと、
「ちょ、馬鹿野郎!そんなんじゃねーよ!」
と、無意識に言い返してしまった。
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