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明るくて人懐っこい麻悠。大胆な性格故に女の子の自覚を持たずに無防備な動作をする麻悠。泣き虫なところが玉に傷な麻悠。人形のように丸いくりくりとした瞳がトレードマークの麻悠。髪が長く、オシャレが得意でよく髪型を変える―特に頭を右てっぺんに上げ、サイドテールにした髪がよく似合う麻悠。そんな彼女の全てを愛している。そして、今日その彼女が、俺の奥さんになる―永遠の存在になるんだ。
俺はまだ頬を紅く染めた彼女の手をとって、自分でも緊張気味に震えながらもさらに緊張で体を震わせている彼女をエスコートする。そして、ゆっくりと式場へと繋がるチャペルの扉へとたどり着く。
そう―身内や気の会う仲間から遥々遠くまでやって来た親戚の客人に暖かく見守られ、祝福される。パイプオルガンで鳴らした定番の結婚行進曲が式場まで響く。司祭の誓いの言葉を聴いた後、俺達はお互いにキスを交わし、それから披露宴へと移動する際に造花のフラワーシャワーを振る舞われる。
披露宴では、各祝辞のスピーチで盛大に盛り上がり、その後にスタッフの持ってきたウェディングケーキを入刀する。まるで結婚式にいる新郎新婦のような幸せなこの光景。
これは紛れもなく夢ではない。今日から始まる新たな人生なのだ。
俺達は、今日最高に幸せな人生をこれから二人で築いていく。
このときは、まだそう思っていた―あの日が来るまでは……。
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