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壁の高さは軽く五メートルを越えていた。しっかり計った訳じゃないけど目測でそのくらいだろうと思う。でも高さは驚くポイントじゃない。ええっとなるのは壁の長さの方だ。
四年生の時には、ここに辿り着いた時にはもうかなり日が暮れかけていて、白い壁が夕日の赤さから宵闇の黒さに変わっていくのが感じられた。その時に募ったドキドキが、感動ではなく恐怖だったことを今でもはっきり覚えている。
理由なんてなかった。この壁自体が怖かった。だからもう、中に入りたいなんて気持ちは完全に消え失せて、あの日のアタシはクラスメイト達と一緒にこの場を駆け足で離れた。だから、あの日得られた情報は壁が五メートル以上あるということだけだ。でもそれは四年生には武勇伝扱いされる快挙で、あの後、上級生達にたいしたものだと何度か言われたとこがあったっけ。そして小さな勇者達にと、こっそり新たな情報をもらったりもした。
今はもう中学に通っている先輩達の話によると、この、果てが見えない程の白壁の一辺は、なんと、二キロもあるんだって! そんなのどうやって計ったのかを聞いたら、角から角まで進む時に歩数を数え、歩幅で割り出したということだった。だからその数字は絶対じゃないってことだったけれど、およそでも一辺が二キロくらいあるっていう壁の長さにただ驚いた。
他に聞いたのは、出入り口がとても大きな門だということ。情報として記憶にあるのはそのくらいかな。
二年前のアタシが聞き、みんなにはもう話していた情報。それでも実際目にすると、この尋常でない長さには色々思わされるらしく、誰の口にも言葉がない。
アタシは一度見てるけど、二キロっていう具体的な長さを知ってからだとますます壁に圧倒される。でも、それに気圧されている場合じゃない。
壁を見て終わりじゃない。目的は中に何があるのかを確かめること。
お化け屋敷の正体を暴く。そのためにアタシ達は今ここにいる。
「みんな、まだ終わりじゃないから。っていうか、ここからだから」
そう口にすると誰もが我に返ったようにアタシを見た。呆けていたことが照れくさいのか、みんな、へへへと苦笑いを浮かべている。
「だよな。今日の目的は、ここの中身を確かめることだもんな」
「二キロか。一辺ずつが全部そうなら、ここは相当な広さだよ」
「そんなに広い所に何があるんだろうね」
「早く確かめに行こうぜ」
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