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「え?私が悪いでしょ?乗っかってきちゃって」
「…なるほど」
謝りどころがズレているけど、悪いと思っているのならば、それを利用させてもらおう。
「じゃあ、今度、お詫びをしてもらおっかな」
「お詫び?」
「うん」
「……何を?」
「今日はみんながいるし。今度ね、二人の時に」
「は、はあ…」
首を傾げる彼女にニヤリと不敵な笑みを返せば、ビクッと反応し、何かを察知したように訝しげな表情に変わった。
「…怪しい。なんか怪しい」
「そう?気のせいじゃない?」
「……ねえ、何考えてるの?」
「……別に」
素っ気なく答えると、むぅっと口を尖らせた彼女が面白くて、ここでちょっと仕返しをしたくなった。
ちょいちょいと手招きすると、素直に腰を屈めてきたサト。
そして、彼女の耳元に手を添えて、俺は囁いた。
「俺が考えているのは、いつもサトのことだよ」
お姫様の顔が一瞬で真っ赤になったのは言うまでもない。
してやったり。
お詫びは、いつしてもらおうかな?
楽しみだ。
*END* 2019.7.16
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