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「あ!待って!私も持つから」
「いいよ。俺が持ってくから」
そう言って、羽瀬君は私を追い抜き、スタスタと歩き始めた。
「ダメだよ!私の仕事なんだから」
私は慌てて羽瀬君に追いすがる。
すると、彼はピタッと立ち止まって、私を見下ろし、フッと鼻で笑った。
な、何?
びくびくする気持ちを隠すように窺い見る。
すると、羽瀬君は顎をしゃくって、行く方向を指し示す。
「ほら、行くよ。中田」
「あ、はいっ」
自分の役目を返してもらいたかったけれど、私の歩幅などお構いなしに大きな歩幅で歩く羽瀬君を追うだけで必死。
結局、金魚の糞のごとく、彼の後ろをついてゆくだけだった。
校内は、文化祭の準備に取り掛かり始め、テスト終わりの解放感と相まって、なんだか浮き足立っている雰囲気。
職員室に着き、二人で目的の場所へとノートを運ぶ。
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