*番外編* あなたとわたしの距離

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最初は、地味子な私に彼氏が出来たことに驚かれたのかと思ったけれど、皆の一番の興味は、もっぱら羽瀬君だった。 前髪と眼鏡で顔の大半が隠れているし、ともかく無口。 バンドメンバー以外と滅多なことじゃしゃべらない。 傍から見れば、得体の知れない存在な訳で。 そんな羽瀬君に彼女が出来たことということが奇跡だと。 そして、どう考えてもコミュニケーションの能力に難ありの羽瀬君と付き合おうなんてどんな勇者なんだと、彼女である私が注目される羽目になったのだ。 特に野々村君の取り巻き女子達は、羽瀬君に手こずった経験が誰しもあるそうで、私が彼とのやり取りをどう成り立たせているのか興味をそそられるようだ。 だからって、こんな感じでからかわれるばかりで、私としてはちょっと迷惑だ。 しかし、根っからの地味子体質。 煌びやかな女子達に言い返すまでの勇気はない。
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