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……ムカつく。
「羽瀬君、今の、どういう意味?」
未だ俺の膝の上にいるという自覚が全くない彼女は、邪気のない疑問を振ってくる。
この鈍感なお姫様をどうしたもんか…
悩みは尽きない。
とりあえず、理性を保つのが先決だ。
「……サト、俺、抱っこしたままでいいの?」
「ハッ!ご、ごめん!」
「ほら、慌てないで。またこけるよ」
「う、うん。ごめんなさい」
頬を赤く染めて、サトはそそくさと立ち上がった。
恥ずかしい感情が収まらないのか、サトは落ち着きなく髪を触って、耳にかけた。
耳まで真っ赤なお姫様。
そういう仕草が男心を擽るってわかってないよなぁ…
さて、どうしたもんか。
心の中でぼやきながら、起き上がって、椅子に座り直した。
「謝るってことは、自分が悪いって思ってるんだよね?」
頬杖ついて上目遣いで話しかけると、サトはキョトンとした顔で俺を見下ろして答えた。
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