*番外編* 君と僕の距離

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「言えばいいのに」 「え?」 助けを求めれば、いくらでも助けてやる。 そう言いたかったけれど、言葉にはならない。 初めて彼女に話しかけたのに、なんとも格好悪い。 驚いた彼女が、ゆっくりと顔を上げてゆく。 まるでスローモションのように、伏せた瞼が持ち上がり、黒目がちの瞳が俺へと向けられる。 初めて、彼女と目が合った。 ドクンと心臓が大きく跳ねる。 「羽瀬君?」 中田の口から、俺の名前。 ……名前、知ってたんだ…! その感動は、大きかった。 絶対に俺のことなんか知らないと思っていた。 彼女がやっと俺を見た。 あの澄んだ声で俺の名を呼んだ。 すべてが特別。 初夏の青空が眩しい放課後。 俺の目の前に彼女がいる。 捕まえないと。 逃げないように。 今日がすべての始まり。 *END*
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