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「被験体08Cが逃げたぞ!探せ!」
「こっちにはいない!地下だ!」
「サーバーが切断されている!追跡不可能だ!」
「何がなんでも探し出せ!あれは貴重なサンプルだぞ!唯一の成功例だ!」
声がする。
そんな声には耳も傾けないで私は走り続けた。
肌にまとわりつく外気。
初めての外の空気に心肺機能がうまく働かずに息が上がる。
それでも足を止めることなく走り続ける。
ただ、ひたすら。
ただ、ずっと。
何度も頭の中でシミュレーションしていた通りの道を抜けて、ただ走り続けた。
生まれてこの方室外に出たことがない私にはもちろん靴を履くという概念はない。
森の奥にある実験施設からの素足の逃亡。
足はすでに傷だらけ。
それでも、止まることは出来ない。
最初で最後のチャンスだから。
一世一代の大勝負だから。
時は勝者の味方。
私はこれから勝ち続けるしかない。
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