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side少女
目を開けて最初に写ったのは白衣。鼻を霞める匂いは消毒液。
私に向かって延びる手は恐怖の対象でしかない。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
私は恐怖から飛び退いたと同時に逃げ切れなかったんだと悟った。
研究所から逃げ出したのには間違いない。
動いたときに感じた足の痛みは逃げ出したときの光景を鮮明に思い出させる。
しかし目の前の光景は私に現実を押し付けてくる。逃げたのに捕まったと言うことはこれから待ち受けているのは実験という名の拷問。逃げたとあれば容赦はないだろう。殺されるかもしれない。
本当にそう思った。
殺されるくらいならばいっそのこと自分で死んでしまおうかと考えた。
これから行われる拷問を考えれば自ら命を絶った方が断然楽なことだろう。
うまく回らない思考回路。この場で命を絶つことを考えた瞬間、私は暖かな何かに包まれた。
初めての感覚。初めての温もり。
今まで感じたことのなかったそれに私は最初それが何なのかわからなかった。
ただただ暖かいと言うその感覚は私を落ち着かせる。
それに伴ってどんどんクリアになる思考回路。
暖かく感じたそれは人間で、私は初めて人間の暖かさを知った。
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