第1章

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それから二日もしないうちに私は風邪をこじらせ寝付いてしまった。 どうやらそれがいけなかったらしく、遂にはもう起き上がれなくなってしまった。 もう意識もおぼろげにになり始め、気付けば親類一同が私の周りに集まって必死に私の名前を呼んでいた。 「お母さん!お母さん!しっかり、しっかりしてよ!」 雨音が一番大きい声で泣いている。 何をしっかりするんだか。 アンタこそ、もっとしっかりしなさいな。 「おばあちゃん。早く元気になって。また一緒に遊んぼうよ。」 雨音の子が、グスグスと泣いている。 おばあちゃんはね、ちょっと疲れちゃってたんだよ。 それでもずっと、あんたたちを見守ってるからね。 そう言おうとしたのだが、もう既に言葉にはならなかった。 皆の泣き声の後ろで、シトシトと雨の音がしていた。 どうやら今日は、雨が降っているらしい。 でもそれ以上に、家族から聞こえてくる雨の音が私にはとても心地よく途端にひどく眠くなってきた。 意識が遠のく中で夫のことや雨音や他の子供たちの事を思い出し、そして最後に例の困まり顔を思い出していた。 きっと私がいなくなったら彼女も消えてしまうのだろう。 それともまたどこかで、雨の予言をし続けるのだろうか。 「もうすぐみんなに、たくさんたくさん雨が降るよ。」 確かにたくさん雨が降ったみたいだ。 なんて素敵な人生だったんだ。 最後の最後に、私はそう思った。 そうして、私たちの奇妙な同居生活は終わりを告げた。 朝から続いた雨は上がり、夏の太陽が顔を覗かせていた。 了
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