1.心の音

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「壊れちゃったね……」 フツウに話せてるかな……。 この人の声、聞けば聞くだけ、やっぱり好きだ。 抱きしめられたまま転がり落ちた此処に、ずっと彼に抱かれて、寝転がっている。 私が彼の上に乗っているような形だし、背中も痛いはずなのに、彼が腕を緩めてくれないから、彼の心臓の音がいつまでも聞こえていた。 彼が話しかけているのに、耳がくすぐったい。 なんでこんなに一生懸命なのかな。 全力で声にするから、彼の声、カラダに響いてる。 こんなに力いっぱい私の体を捕まえているのに、何度も顎を持ち上げる指先が、すごく優しい……。 「ん……」 陽に当たりすぎちゃったのかな。 カラダ、すっごく、熱い……。
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